己の才能の多寡を算定されたくないので勝負しない、という逃避

“才能がないので勝てない”という発想は、容易に“才能がないから勝負をしない”という逃避へ陥ります。本当は、才能がないのではなくて、自身に確かにある才能が如何ほどであるかを試みるのを恐れているのにもかかわらず、“才能がないので勝負しません”という言明は、まるで自らが慎み深い善人であるかのような甘美な錯覚を与えつつ、その人をして無知の闇へ葬るのです。