ブログという皮袋

初めて「ブログ」に触れたとき*1は、「固定リンク」(Permalink)が何のことやら意味不明だったなあ。そのリンクを踏むと結局同じ内容がまた表示されるだけじゃないか……って。

それはさておき、CMSとしてのブログは結局のところただの「皮袋」でしかないので、それをどう使うかとか中に何を入れるか次第でどういうものにでもなるはずです。それに関しては「ウィキ(Wikiengine)」も同様。日本においては従前の「日記サイト」の文化圏が軒を借りて母屋を乗っ取る形で「ブログ」文化圏として収まっている関係で、ブログを“フロー”として使うことが当たり前のようになってはいますが、“ストック”的な使い方もやろうと思えばできないわけじゃないのでは*2
「普通のWEBページ」と言いますが、それが手書きでごりごりHTMLを記述するようなものを指しているなら、CMSによる生成(動的であれ静的であれ)と比較して労力が増える*3ぐらいで、コンテンツを公開するということに関しては両者に差はないはずです。ナビゲーションの統一とかRSSによる新着情報の提供を考えると、「普通のWEBページ」でそれを上回るものをやろうとしてもただしんどいだけでしょう。

別にサイドバーがあってブログパーツがじゃらじゃらついていてコメント欄があって、ほぼ毎日更新されるのが「ブログ」(の要件)ではないと自分は思っていますので。

7/22追記

VRMだとfoxさんCaldiaさんが"普通のWEBページ"の体裁でビギナーに配慮した優れたサイトを運営してますが、それでさえ不十分ぽいですね。あとブログは日本では殆ど日記ツールだと思います。その前提で提供されてるから。

http://b.hatena.ne.jp/im45-50s/20090721#bookmark-14805712

これは、労力的コストの比較においてCMSが「HTML手書き」に優ることはあっても劣ることはないという話です。個々のサイトのユーザビリティの良し悪し・公開されたものの出来不出来についてはここでは一々言及しません。

また、手入力による作成もツールによる生成も、ひとたびHTMLにしてしまえば両者に根本的な差はないということです*4。なので「普通」を「ブログ」と対比させることはナンセンスなんじゃないかと思うのですけども。たとえばYahoo!ブログなりはてなダイアリーなりのコミュニティにおけるあれやこれやのコミュニケーションのありようが、そういうコミュニティに依存しない場所でのサイト公開をすれば無縁であるということであれば、それは全く別の次元の話です。

ブログというシステムの利用については「その前提で提供されているから」といって、それはブログは日記以外に使用できないことを意味しない、ということを述べたつもりなのですが。「鉄道模型シミュレーター」のシステムにおいてインピーダンスボンドとして使用することを前提で提供されているパーツだから、それをポイントマシン(の一部)として転用するなど以ての外だ、ということではないでしょう?

ブログのシステムを時系列順表示であることを無視して使用している事例として、2ちゃんねるの方舟 Reloaded を挙げておきます。更新情報をフィードによって提供できるというメリットを殺している*5という部分を無視すれば、ブログとして提供されているシステムによってデータベースサイトを構築している事例と一応は評価してよいと思います。

*1:某自称ベストセラー作家の人のサイト。

*2:むろん他に適したCMSがあるのならばそれを使えば良い。「ウィキ」もまた必ずしも不特定多数によるコラボレーション前提で使用する必要はない。詳細はよく知らないがFAQサイト構築用のCMSもあったように思う。

*3:その副産物として情緒的なレベルでの達成感は得られるかもしれませんが。

*4:たとえばBlosxomによる静的生成で「普通のWEBページの体裁」で出力したHTMLをFTPでアップロードして公開した場合、「普通」と「普通の体裁で自動生成されたもの」の差はどこにあるのか、ということ。

*5:その結果、ブログだと思ってフィードを取得すると、新着記事があっても反映されず、新着記事がないと錯覚してしまう。